「焙煎工房MATSUO」を始めた経緯
まったくの素人からスタート
人生は、転機というものに何度か出会いますが、1992年、平成4年にそれは起こりました。
「お茶をつくってくれませんか」
尊敬する、かつて意識教育研究所所長の波場武嗣(はばたけつぐ)先生からそんな言葉を投げかけられました。25年前のことになります。
そうは言ってもズブの素人です。全く畑違いでしたので(そのころ呉服の訪問販売を生業としていました)どんなお茶なのか、どうやって作るのか。スペースはどうするのか。足を踏み入れることへのためらいもありましたが、「お役に立てるかもしれない」そんな気持ちもあり、お茶を作ることに気持ちが傾いていきました。
黒炒り玄米だ!
そんな中、岡山に以前から懇意にさせていただいている、自然食の船越康弘さんから黒炒り玄米の深いお話を訊かせていただきました。船越さんの師である自然食の大家、小川法慶先生から私に伝わったという流れを感じたとき、売れるとか売れないとは全く次元の違う思い方をして「よし、これだ」と、なんの迷いもなく「黒炒り玄米」を作らせていただくことを決めたように記憶しています。
炒り物は難しい
母にこの話をしたら「炒り物は昔から難しいっていうけど、お前大丈夫か」と言ったのです。「えっ、炒り物って難しいのか」今でもこのフレーズが頭の中を過ったことをはっきりと覚えています。後でこの言葉の本当のすごさを十分味わうことになりました。